極端な多品種多量、職人気質の時計修理事業をIT経営実践で効率化 ~共栄産業株式会社~
■導入の背景と目的
同社の中核である時計修理部門では、修理依頼件数の増加に処理件数が追いつかない状態となっており、修理業務の効率化と時計修理士の養成が課題となっています。
時計の修理内容はオーバーホールから電池交換まで、多岐にわたっており、機種数はメーカー数×品種数×年式モデル数となり数万種におよび、極端な多品種多量の扱いが要求されています。
また修理士ベースで工程を管理しているため、同じ時計の修理であっても、その対応や修理時間はバラバラなものとなっています。
このため、伝票処理、見積問合せ時の対応、個々の時計の工程把握などを効率化し、時間短縮およびコスト削減等を図るために時計修理システムの導入が求められています。
■IT化の概要
入庫管理、見積管理、修理管理、出庫管理、進捗管理、品質管理の6つの個別システムによって、修理部門における業務の効率化を支援しています。
現在はメーカー、取引先との本格的な企業間連携を進めており、時計業界全体の生産性向上に寄与するものと考えています。
また、時計修理の効率化が課題であったことから、入荷、診断・見積、顧客への確認、修理・仕上げ、検査および発送の各段階を見える化をすることで、マネジメントの高度化を図りました。
■IT経営推進における取組み
社長の指示のもと、取締役をCIOとして3名のプロジェクトメンバー(修理部門、システム部門、経理部門各代表)とともに、外部専門家のアドバイスを受けながら、IT経営企画から導入までの推進を行いました。
さらに本事業は、関東経済産業局の2006年「IT活用型経営革新モデル事業」に公募採用されています。また2008年より再度、攻めのIT経営を実践するため、取引先への時計修理ステータスを見える化をすることで、社内作業の生産性向上と、外部企業の顧客満足度を向上すべく対応をしています。
加えて時計や時計部品などの販売を強化するために新ホームページを戦略から策定しリニューアルしています。
■導入効果
同社の時計輸入販売、時計卸業と時計部品卸の売上高がともに対前年で同等比率の中、IT経営実践後の修理部門では単独の売上高が2005年(IT経営前)に比べ2006年で138%、2007年で153%、そして2008年では181%となっており、修理本数も2005年と比較し2008年は155%となっており、導入の成果が認められます。
また操作画面の工夫、手書き作業の削減。
バーコードの導入、見積送信の自動化による、操作の簡略化やミス削減等で業務の生産性が向上しました。
これは 結果的に顧客の時計の入荷時点から、見積回答や問い合わせ可能になるまでの時間短縮につながり、顧客満足度が向上する効果も出ています。
■IT経営推進を支援した方々
ITコーディネータ:阿部満
中小企業診断士:松尾由弘
システムベンダ:DEN株式会社
行政関係機関:関東経済産業局 平成17年度 中小企業創業・経営革新等支援補助金(IT活用型経営革新モデル事業)
引用:http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/it-keiei/itjirei/case2010/case_kyoeico.html
弊社ではIT経営に関するコンサルティング、PM・PMO、講演・講師・研修サービスをご提供しております。お気軽にご相談頂ければと思います。
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